株式会社Bizsuppliのメルマガバックナンバー

会計を中心とした実力派プロフェッショナル集団であるビズサプリのメンバーが、旬のネタや色々な物事への洞察を記載したメルマガのバックナンバーです。

真実の瞬間(Moment of Truth)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.060━2017.9.13 ━

【ビズサプリ通信】
▼ 真実の瞬間(Moment of Truth)
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ビズサプリの三木です。
今回のメールマガジンでは「真実の瞬間(Moment of Truth)」について紹介します。
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■ 1.Moment of Truthとは
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仕事に人生に常に全力投球したいのは誰しも同じですが、現実問題として人間には好不調の波がありますし、集中力にも限度があります。チャンスを逃さないようにするには勝負どころをしっかり把握したいものです。スカンジナビア航空の元CEOのヤン・カールソン氏は、この勝負どころのことをMoment of Truthと呼んで重要視しました。
これは営業職だけでなく、直接顧客と接しない内勤者でも平社員でも同じです。勤め人であれば上司との間でのMoment of Truthがあります。仕事だけでなく人生でもMoment of Truthがあります。一目ぼれなどはまさにそうでしょうし、重要な試験がその瞬間ということもあるでしょう。あるいは思いもよらなかったことが後で振り返ると人生の岐路となっていることもあったりします。
人生は有限であり、第一印象を得る機会は一度しかありません。一度きりのチャンスを逃さないようMoment of Truthを意識して生きたいものです。

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■ 2.複数のMoment of Truth
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営業を例に考えてみると、顧客にとってMoment of Truthは1回ではないこともあります。
例えば、ネットで商品を検索し、実際の店舗で購入、持ち帰って使用することを考えてみます。ネットで探したときに「最近はこんな機能もあるんだ」「カッコ良さそうなデザイン!」と感じることもあるでしょう。店舗で実際に商品をみて一目ぼれするケースもあるでしょうし、店員の親切な説明が決め手になることもあります。逆に、何の気なしに買ったものでも、使って見てその性能や使い勝手に感動することもあります。
売り手にしてみれば勝負どころが複数あることになりますが、すべてに張り込むことは難しいので通常は焦点を絞ります。例えば価格勝負の牛丼チェーン店であれば「この値段でこのボリューム!」と思わせるコストパフォーマンスが重要でしょう。高級レストランでは「素晴らしい顧客サービス!」と思わせることが重要で、来店いただいた時に備えて店員をしっかり教育します。
会計的には、売上100円に対するコスト構成を考えるとこの辺が見えてきます。価格勝負の牛丼チェーンであればコストパフォーマンスを裏付ける材料費率が高くなるでしょうし、高級レストランであれば顧客サービスを裏付ける人件費が高くなるでしょう。通常の会社であれば自然と勝負どころに費用をかけるコスト構成になりますが、もし「見当違い」なコスト構成になっているとしたら問題です。
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■ 3.経営管理との関係
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昔は勘と経験で経営管理をしてきましたが、今は多くの会社で定量的な経営管理手法を採用しています。バラつきを抑える改善手法であるシックスシグマ、価値とコストのバランスに注目するバリューエンジニアリング、指標の置き方そのものに注目していくバランススコアカードなど、大きな会社になれば何らかの定量的手法によって経営管理や業務改善をしています。ビッグデータが扱いやすくなってきたこともこの流れを後押ししています。
大きな会社になるほど勘と経験では管理できず、定量化しなければ全体像が見えませんから、この流れは必然と言えるでしょう。しかしながら忘れてはいけないのは、多くの経営管理手法では出発点として「顧客満足度」や「顧客にとっての価値」を用いていることです。ここの定量化がうまくできていないとどんな経営管理手法も意味がありません。そして、顧客がその製品やサービスに惚れ込み価値を認めるのは、実はMoment of Truthの一瞬なことが多いのではないでしょうか。
経営管理手法は、一度導入してしまうと数字が独り歩きしがちです。顧客にとってのMoment of Truthをしっかり捉え、そこにウェイトを置いた設計になっているかどうか、時に見直してみるのもよいかもしれません。

本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

OJTを考える

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.059━2017.8.23━

【ビズサプリ通信】

▼ OJTを考える

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ビズサプリの辻です。

お盆休みも終わり8月も後半になりましたね。8月に入って夏がどこかに行って
しまったかのような雨模様が続きます。涼しくていいのですが、夏の太陽も少
しは恋しい感じもします。

さて、今日はOJTについてお話をします。
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■ 1.OJTとは

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OJT(On the Job Training)とは職場の管理者や先輩が、部下や後輩に対して
仕事を通じて指導育成を行うことを言います。これに対して、職場から離れて
受講するタイプの指導育成方法をOFF-JTといいます。

少し前の調査にはなりますが、2010年の産業能率大学による「経済危機下の
人材開発に関する実態調査」によると、回答企業の9割近くが、人材育成の方法
として「OJTが中心」と回答しているそうです。一方で「OJTが有効に機能して
いる」と回答している企業はなんと12%、1割強に留まっているとのことです。

また、2014年のCFO協会による「経理・財務部門の組織・人材に関する調査」
によると、経理財務部門における主な教育手段として「OJT重視」と回答した
企業が76%となっています。これに対して「教育・研修や自己啓発支援の充実
度」に対しては「充実している」とした回答が24%であったのに対して「充実
していると思わない」が56%となっています。

職場ではOJTが主な人材育成の手段になっているにも関わらず、その満足度は
低いというなんとも残念な結果となっているようです。

OJTが主な教育手段になっているというのは、それ以外に教育・訓練する制度が
ないことが多いという背景があるように思います。また、満足度が低いのは、
そもそも何をどのように教育するのかが、各個人任せになっていることが大きな
容認になっているようです。

もちろん、OJTを会社全体で見直していくことももちろん必要ですが、今日は、
もう少し簡単な「各自でもできる」OJTのちょっとしたヒントをご紹介してい
きます。

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■ 2.時間を区切って例示を示す

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このメルマガの読者の皆様は、OJTを実施する側の方が多いと思います。
ご自身でOJTを十分できていないと感じているとしたらその理由は何だと考え
ますか。

前述の産業能率大学の調査では、「指導する人の時間が取れないから」という
理由が第一位となっています。確かに誰かに管理者は様々な業務が多忙で、
じっくり教育する時間はなかなか取れないことが多いですよね。
では、時間があれば解決するのでしょうか。

「人間が最も効率的に物事を考え、様々なアイディアが出るのはどんなときか」
という研究があります。物事を考えるには、時間の締め切りを持たせた「速考」
と、時間の締め切りを持たせない「熟考」といった方法があります。また、
考えるにあたって「フリーで考えさせる」ものと、「例えばこういうことも考
えられる」といったヒントを与えるといった手段があります。

この研究では何が一番効率的で、アイディアが多くでた考え方は、「速考」で
「例示がある」の場合で、一番効率的でないのは「熟考」で「例示なし」の場合
だと結論づけています。

OJTをする際に、部下に自分で考えさせることは大事ですが、あくまでも上司が
ヒント(例示)を示し、そして時間を区切って実施させることでより効果的
な指導ができそうです。

また、ある教育機関の調査では、自分の仕事を犠牲にする「滅私」の精神で
生徒に接すると、生徒の成績の伸びが悪くなるそうです。精神誠意尽くしすぎ
ることが部下の成長を妨げることになるかもしれません。

「何もかも教えてあげる」のではなく、時間を区切り目標を与え、「例示」
で導くことで効率的なOJTができるかもしれません。

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■すぐほめると行動が強化される

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人間の行動は「ほめられる」とそのほめられた行動をくり返し行うようになる
そうです。これを行動分析学では行動の「強化」といいます。逆に怒られたり
イヤな顔をされた場合には、その行動を次第に行わなくなります。これを行動
の「弱化」といいます。

この「強化」の効果は、なんと行動が起こってから60秒以内で薄れてしまう
そうです。「ほめて育てる」ということを言いますが、望ましい行動や発言が
あった時にすぐにほめることがポイントのようです。

例えば、「わからないことがあったら、すぐに聞いてほしい」と思っていると
します。部下の方が「ちょっといいですか。」と質問に来たら、笑顔で「なんで
しょうか。」ときちんと聞く態度をとって聞く、そして質問をしてきたことに
ついて「よく質問にきたね。」「いい質問だね。」と返す、このように
することで、「質問をする」という行動が強化されることになります。

逆に、「忙しいから少し待って」と言ってしまったり、「面倒くさい」といった
態度をとると、質問をするという行動は弱化され、次第に質問には来なく
なってしまうかもしれません。

また、もう一つ見逃しがちなのは「何を望むか」が教える側がわかっている
かどうかということです。ほめるといってもむやみやたらにほめるのではなく、
「望ましい行動をとった場合」にほめることが重要ですから、OJTを行う側が
「望ましい行動」「OJTの目的」をはっきりさせておくということが必要となり
ます。

今週の目標は何か、今月の目標は何かといったことをしっかり伝えたうえで
適切なフィードバックを実施しないと、ほめられたとしても、望ましい行動の
「強化」ができません。

OJTとは少し外れますが、多くの不正や不祥事事例で、「マイナスの情報が
伝わりにくい雰囲気」「ものが言いにくい組織風土」といった言葉を聞き
ますが、そのような状況はマイナスの情報を伝えた時に「怒られた」
「聞いてもらえなかった」といった行動が返ってくると、マイナスの情報を
早期に伝える」という行動が弱化され、その行動の積み重ねが「風土」を
作り上げていると考えられます。「マイナスの情報を包み隠さず、
早期に伝えてほしい」と思うのであれば、マイナスの情報を伝えられた場合
には、早く伝えてくれたことに対する「感謝」の気持ちを伝えることが
必要です。


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■ 4.かっこ悪い自分もさらけ出してみる

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心を開いて信頼関係を築くには、自分自身のカッコ悪い姿を見せることも
一つの方法となります。「ジョハリの窓」という心理学の言葉がありますが、
相手が知らない自分を開示することで、相手との信頼関係を築くことがで
きます。

誰でも失敗や弱点はあるものです。この弱い自分をさらけ出すことで、部下の
方も安心して自分を開示することができ、より深い信頼関係を築くことができ
ます。
先輩の過去の失敗談は、「この人も昔はそういうことをしてきたんだ」「何も
完璧でなくても大丈夫なんだ」といった安心感を与え、新しい仕事や役割に
対してチャレンジをする気持ちを持たせることができるかもしれません。

今後、AIが活用されるようになると、人間同士のOJTで受けつがれていた経験
や判断が数値化されていく時代になってしまうかもしれません。
そうであったとしてもよい仕事をするには職場の人間関係や信頼関係が必須で
あることに変わりはありません。今後のOJTは、職場の信頼関係や協力関係を
築く手段となるのかもしれません。


本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

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東芝劇場?衝撃の結末は?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.058━2017.8.2━

【ビズサプリ通信】

▼ 東芝劇場?衝撃の結末は?

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ビズサプリの久保です。
今回のビズサプリ通信は、またもや東芝です。過年度決算訂正が終わったか
と思ったら、減損問題で揺れる東芝ですが、現在進行形の劇場型で事件が
進展しています。会計の専門家でも難しい内容をできる限り平易に解説したい
と思います。少し長いですがお付き合いください。

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■ 1.ウェスチングハウスによる減損処理

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 東芝は2015年9月に、2014 年3月期までの有価証券報告書の訂正と2015年
3月期の有価証券報告書を提出しました。ようやく過去の決算処理が終わっ
たのも束の間、その2ヶ月後の11月に日経ビジネスオンラインが、米国で
原子力事業を行う子会社のウェスチングハウスによるのれんの減損を報じた
のです。
 それによると2013年3月期と2014年3月期に、ウェスチングハウスの貸借
対照表に計上されているのれんが総額1,600億円減損されていたということ
でした(その後の東芝による発表では総額1,320億円)。東芝が2015年9月
に行なった過去の決算訂正には、このウェスチングハウスによる減損は含ま
れていませんでした。この減損はどこに行ったのでしょうか? 
 実は、これについてはビズサプリ通信で既に解説しています。子会社に
よる減損を東芝が連結上取り消したので、最終的には決算にはこの減損は
反映しなかったというのが真相です。
 本来、親会社が計上するのれんを子会社で計上する処理は、「プッシュ
ダウン会計」と呼ばれる手法です。親会社の東芝で減損を取り消したのは、
減損テストをする時の事業グルーピングが親子間で異なっており、親会社
のグルーピングが子会社のグルーピングより大括りなので、減損は不要と
判断したためでした。これらついては、当時の監査人であった新日本監査
法人は問題としていません。
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■ 2.東芝によるのれんの減損と監査人の変更

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 2015年3月期までは、前述のとおり東芝ウェスチングハウスののれん
について減損処理をしませんでしたが、翌年の2016年3月期において2,476
億円の減損を計上しました。第3四半期までは減損の兆候なしとしていま
したが、期末になって減損を公表したのです。これについて連結財務諸表
の注記には「東芝の信用力の低下により、借入金利が上がったので、高い
割引率で公正価値(現在価値)を計算したら、原子力関連資産の価値が低く
計算された結果の減損です。」と言う意味のことが記載されています。
 東芝は、インカムアプローチという方法を採用しています。その場合、
企業価値は、将来のキャッシュフローを現在価値に引き戻して計算します。
現在価値にするときに金利相当額を割り引くのですが、そのときに使う利率
が高ければ、計算される現在価値が小さくなります。東芝は、昔は信用力が
あったので、低い金利で借入できましたが、今は借入金利が高くなったので、
高い割引率を使って計算をしなければならなくなったのです。
 この説明は、単なる金利(割引率)の差による計算上出てきた減損です、
と言うことになっています。すなわちこの時点では、ウェスチングハウス
などの原子力事業自体の価値が低下したことによる減損とはされていません
でした。
 ここまでの監査は、新日本監査法人が行なっており、次の年度からは
PwCあらた監査法人に交代しています。PwCあらた監査法人は、監査を引き
受ける前に予備調査を実施しているはずです。これは新規に監査を引き受け
る際に監査法人が必ず実施する手続です。その際、特に2016年4月1日の
期首残高をしっかり調べたはずです。監査を引き受けたということは、
すなわち、原子力の事業に関わる減損は、決算に反映された以上には不要
であるということをこの時点で判断したものと考えて良いと思います。
 しかし、ウェスチングハウスは、そのちょうど1年後に破綻したのです。
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■ 3.監査法人による結論不表明

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 その後、東芝PwCあらた監査法人の関係が急激に悪化していきます。
四半期決算については、監査より簡易な「レビュー」が実施されますが、
2016年12月の第3四半期決算のレビューがいつまでも終わることがなかった
のです。
 ウェスチングハウスの内部管理をめぐる不正があったことから、PwCあらた
監査法人は調査する必要があるとし、東芝は2016年12月までの第3四半期
決算の公表が出来なくなりました。結局2ヶ月遅れの4月11日にこれを公表
しましたが、PwCあらた監査法人は、この四半期決算に対してレビューの結論
を表明しないことにしたのです。
 監査法人が「結論不表明」としたのは、東芝がこの四半期決算において、
原子力事業ののれんの減損をしなかったからではありません。東芝は、原子
力事業に関して7,166億円の減損を計上しています。監査法人はその妥当性
の検証ができないという理由で結論不表明としたのでした。
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■ 4.S&Wの買収と減損処理

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 ウェスチングハウス買収時ののれんは6,600億円でした。そのうち2016年
3月期で2,476億円の減損が計上されています。7000億円を超える減損の対象
となるのれんが、そもそもありませんでした。これはどういうことなのでしょ
うか?
 ウェスチングハウスは、S&W(CB&Iストーン・アント゛・ウェフ゛スター)
を2015年12月に買収しました。S&W買収時に評価した企業価値は、実は
もっと低かったことが、今頃になって分かったので、高く買ってしまった
金額をのれんに計上し、同時に全額減損したと東芝は公表しています。
 これは、かなりおかしな話です。S&Wを買収したのは、2015年12月ですの
で、2016年3月期での減損テストはどうなっていたのでしょうか。この決算
は、新日本監査法人の最後の監査対象となり、PwCあらた監査法人も期首残高
として検証対象としていたはずです。
 実は、S&Wは原発の建設工事会社で、ウェスチングハウスと一緒に共同
プロジェクトを実施していました。S&Wの原発プロジェクトがどんな状態
なのか、ウェスチングハウスが知らないはずはありません。東芝が、S&W
の買収によって、今後はプロジェクト全体を一元管理することができ、さらに
S&Wと原発工事のコスト負担を巡る対立を解消することができたと発表しています。
 結果として、PwCあらた監査法人は、S&Wの買収を原因とした減損という
爆弾があるのを知らずに新日本監査法人から監査を引き継いだということ
なのでしょうか。東芝ウェスチングハウスがその事実を隠していたとしか
考えられません。
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■ 5.ウェスチングハウスの破綻と連結除外

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 話はこれで終わりません。2017年3月29日、ウェスチンク゛ハウスとS&Wを
含む関係会社は、米国連邦倒産法に基つ゛く再生手続を申立て、再生手続を開始
しました。東芝が期限の2017年2月に第3四半期決算を公表できず、4月に
なってようやく公表した時点では、ウェスチングハウスが破綻していたという
ことになります。
 この結果、なんとウェスチンク゛ハウスとその関係会社は、東芝の連結対象外
となりました。 東芝が採用する米国会計基準では、再生手続中の会社は、親
会社との間に有効な支配従属関係が存在しないため、連結除外してよいという
ルールに基づくものです。
 話がややこしくなりました。2016年12月の第3四半期決算で計上された
7,166億円の減損はどうなるのでしょうか。そもそものれんの対象となる子
会社が連結除外されたので減損を計上することもできません。
 2016年12月の第3四半期報告書には、「ウェスチングハウスの連結除外
により2,000億円の増益が見込める」と書かれています。2016年12月に計上
した7,166億円の減損が消えることが増益の理由です。ただ、5月に発表さ
れた業績見通しでは、ウェスチングハウス関連の損失は1.3兆円になること
が公表されています。発生する損失の内容は詳しくわかりませんが、この
巨額損失を見ると大変なことになっていることが分かります。
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■ 6.東芝の現状
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 このビズサプリ通信の執筆時点では、2017年3月期の有価証券報告書
提出期限の6月末を過ぎており、その提出期限が延期されている状況です。
2016年12月の第3四半期での東芝の純資産は299億円でした。その四半期
報告書には、継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)に関する注記を
記載しました。これは東芝が自らその事業継続に疑念があることを読者に
注意喚起する記述です。
 一方、東証は、2015年9月、東芝による過去5年度分の訂正報告書の提出
を受けて、特設注意市場銘柄に指定しました。その1年半後の2017年3月に
上場廃止となる恐れがあることから「監理銘柄(審査中)」に指定しま
した。現状、有価証券報告書が提出されていない状況ですが、東証は、
東芝連結貸借対照表を提出させ、2017年3月末で債務超過となっている
ことを確認した上で東証1部から2部に降格しました。監査法人の監査を
受けていない財務諸表で東証が2部降格を判断したのは異例の措置でした。
これからも東芝から目を離すことができません。

本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

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日本の財政とインフレ税

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.057━2017.7.19 ━
【ビズサプリ通信】
▼ 日本の財政とインフレ税
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こんにちは。ビズサプリの三木です。
財務省の資料によると、平成27年度末の「国の借金(国及び地方自治体の長期債務残高)」は1,035兆円と推計されるそうです。この多額の借金について、このままでは日本の財政は破綻するという意見と、いやいや大丈夫という意見があり、専門家の間でも全く見解が異なる状態です。
実際にどうなるのかは私には想像もつきませんが、今回のメールマガジンでは、こうした財政状態に関わる論点を紹介したいと思います。
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■ 1.破綻するという意見
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このままでは日本の財政は破綻するという意見は、概ね以下のようなものです。
現在の日本の財政は収入より支出が多い家計と同じです。この状況が続くと「日本の財政は破たんするのではないか!?」という疑いが広まります。この結果、新規に国債を発行しようとしても誰も引き受けてくれなくなります。
それでも何とか国債を引き受けてもらわないと財政が破たんしてしまいます。そのためには国債リスクマネーを引き付ける高い金利を設定しなければなりません。こうして国の借金は雪だるま式に増え、高い金利によって国内はインフレに悩まされ、ついにその自転車操業も回らなくなって日本は債務不履行に至るかもしれません。
これを防ぐには、「ワニの口」と称されるほど開く収入と支出のバランスを取り戻すことが必須です。すなわち公共投資を削減し、無駄遣いを止め緊縮財政にする必要があります。この立場からすると、「ヘリコプターマネー」などもってのほかです。
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■ 2.破たんなどしないという意見
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一方で日本に財政は破たんなどしないという意見もあります。
日本の財政を語るときに国の借金ばかり注目されますが、政府部門は実は金融資産もたくさん持っています。借金が多くても資産もたくさん持っているのであれば、そこまで心配する必要はありません。
また国の借金といっても、特に団塊世代の貯金に代表されるように、実は日本人が国債を多く引き受けています。つまり借金といっても民間部門と政府部門の貸し借りに過ぎず、日本全体でみればバランスは決して悪くありません。
海外を見れば、例えばアルゼンチンは何回か債務不履行に至っています。しかしながら同国は自国内で国債を引き受けるだけの民間部門の貯蓄がないため外国債を大量に発行しているという状況にありました。これに比べ日本は民間部門が健全であり、国債は国内消化でき、外国債を発行する必要が乏しいため、財政不安によって国債の引き受け手がいなくなることはあまり想定しなくてよいかもしれません。
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■ 3.インフレ税
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日本の財政が破たんするかどうか私ごときには予想もつきませんが、財政不安がひどくなった時にはインフレが起きることが多いとされます。
実は太平洋戦争後、日本は1945年の水準からみて1949年に約70倍のハイパーインフレを経験しています。この原因は、太平洋戦争に当たっての多額の戦時国債の発行や、その後の復興費用を賄うための大量の国債の日銀引き受けでした。今の日本はそこそこ経済力があるため多額の国債があってもこうしたインフレにはなっていませんが、もし経済力が落ちればインフレに傾く可能性は無いとは言えません。
実はインフレというのは、借金を抱える国にとっては税金と同じ効果を持ちます。例えば平均年収が500万円で国の借金が1,000兆円あるのと、平均年収が5,000万円で国の借金が10,000兆円なのはほぼ同じと言えます。年収が5,000万円というと羨ましい気もしますが、コンビニのおにぎりが1,000円になっていればあまり意味はありません。つまりインフレで年収や物価が上がった時に国の借金は実質目減りします。1,000兆円の借金があっても年収や物価が10倍になれば単純計算で税収も10倍になりますから、返済はだいぶ楽になります。
その裏で割を食うのは金融資産です。せっせと住宅資金を3,000万円貯めたとしても、インフレで物価が10倍になってしまえば家は買えず、その10分の1の値段の車ぐらいしか買えなくなってしまいます。結果を見ると、インフレによって金融資産に対して資産税が課せられ、それを原資に国の借金が減ったのと同じことになります。
財政が悪化することでインフレが起きても、この「インフレ税」によって借金が目減りすれば、逆に財政は持ち直すかもしれません。世界の歴史ではそういう例もいくつかあります。しかしながら、真面目に働いて得た貯蓄が台無しになっては道徳観もおかしくなりますし、生活の安定は保てないでしょう。貯蓄が失われれば生活不安から治安にも影響が出てきます。これでは財政が立てなおったといっても、国の政策としては失敗です。
インフレ税による財政再建は結果としてそうなることもあるだけであって、それを狙って実行してはならないシナリオでしょう。日本は「失われた20年間」で長いデフレを経験し、インフレという状況を思い出せなくなっています。良いインフレも悪いインフレも含め、そろそろインフレのことを思い出しても良い時期かもしれません。

本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

 

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セグメント情報の開示

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.056━2017.7.7━━

【ビズサプリ通信】

▼ セグメント情報の開示

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こんにちは。ビズサプリの庄村です。今年も早いもので半分が過ぎ去りました。
3月決算上場会社では6月に株主総会を開催しますので、株主総会への対応や
有価証券報告書の作成などでご苦労された方が多いと思います。
今回のメルマガは、有価証券報告書で開示されるセグメント情報の開示にスポ
ットをあててみたいと思います。

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■ 1.セグメント情報とは
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 セグメント情報は、企業集団の活動を製品・サービス別、地域別、規制環境
別等に区分した単位(セグメント)ごとの情報で、連結財務諸表の注記事項で
す。
企業のセグメントごとの規模、利益貢献度、成長傾向などを示すことにより、
多角化・国際化した企業の業績や見込みについて財務諸表の利用者に有用な情
報を提供することを目的としています。

我が国のセグメント会計基準では、国際財務報告基準米国会計基準で採用さ
れている「マネジメント・アプローチ」が採用されています。
マネジメント・アプローチとは、経営上の意思決定を行い、業績を評価す
るために、経営者が企業を事業の構成単位に分別した方法を基礎としてセグメ
ント情報の開示を行う方法です。すなわち、マネジメント・アプローチでは、
セグメントの区分方法あるいは測定方法が特定の方法に限定されておらず、経
営者の意思決定や業績評価に使用されているありのままの情報を開示すること
を求めています。

マネジメント・アプローチに基づくセグメント情報により、財務諸表利用者が
経営者の視点で企業集団を理解できる情報を開示し、意思決定に有用な情報を
提供ができるようになりました。


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■ 2.マネジメント・アプローチの特徴と長所・短所

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マネジメント・アプローチには以下の特徴があります。
(1)取締役会等での経営意思決定や業績評価で使用している事業部、部門、
子会社、地域等の会社内部の単位が報告セグメントとしてそのまま使用されま
す。
(2)セグメント別の業績評価をするために、特定のセグメントに発生する
費用は当該セグメントに集計されます。特定のセグメントに紐づかない全社
費用はいずれのセグメントにも集計されません。
(3)セグメント情報は企業内部の作成基準に従って作成された情報であり、
財務諸表を作成するために採用される会計処理の原則および手続に準拠する
ことを求めていません。そのため、連結財務諸表計上額と報告セグメントの合
計額は一致しないことがあり、その差異は開示されることになります。

上記の特徴をもつマネジメント・アプローチに基づくセグメント情報には、次
のような長所があると考えられています。
まずは、財務諸表利用者が実際の企業内部での経営意思決定や業績評価で使わ
れた情報をもとに経営者の視点で会社を見ることにより、投資意思決定の判断
ができます。
また、その情報は取締役会等で既に作成・使用されていますので、作成にかか
る追加費用が比較的少なくなります。。
最後に、実際の企業の組織構造に基づく区分を行うため、その区分に際して恣
意性が入りづらくなります。

しかし、マネジメント・アプローチに基づくセグメント情報は、企業ごとに作
成方針が異なっているため、同業種間等の比較が困難になってしまいます。ま
た、実際に内部で利用されている財務情報を開示することなるので、企業の事
業活動の障害となる可能性があるという短所を持っています。会社によっては
利益率の高い事業を開示することにより得意先との価格交渉で値引きを迫られ
てしまうことも考えられます。


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■ 3.セグメント情報の開示項目

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 セグメント情報の注記では、まず、報告セグメントに関する情報として、報
告セグメント別の売上高、利益(損失)、資産、負債等の額、測定方法を開示
します。実際の集計作業では、セグメントにおける取引を集計し、セグメント
間の取引を消去することになります。

また、関連情報として、製品・サービスに関する情報(外部顧客への売上高)、
地域に関する情報(地域別売上高、有形固定資産の額)、主要な顧客に関する
情報(当該顧客の名称、売上高、主要セグメントの名称)を開示します。

次に、減損損失に関する情報として、減損損失の報告セグメント別の内訳を開
示します。

さらに、のれんに関する情報として、当期償却額、当期末残高の報告セグメン
ト別の内訳を開示します。負ののれんがある場合には、負ののれんも報告セグ
メント別に開示します。

 例えば、2017年3月期の有価証券報告書の提出期限延長申請しているT社で
は、米国原発取得で計上したのれんの減損処理で監査法人ともめているようで
す。
減損損失に関する情報で、問題のある米原発子会社が属する「電力・社会イン
フラ」セグメントで巨額な減損損失が計上されるかもしれません。また、報道
されているように半導体事業を外部に売却すれば「電子デバイス」事業が報告
セグメントからなくなる可能性もあります。


ビズサプリグループでは、決算開示支援業務も行っておりますので、
ご興味ありましたらご相談頂ければと思います。
http://www.biz-suppli.com/menu.html?id=menu-consult

本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

 

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ネットとリアルの融合

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.055━2017.6.22━━

【ビズサプリ通信】

▼ ネットとリアルの融合

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こんにちは。ビズサプリの花房です。先日のニュースで、アマゾンがアメリカ
の高級スーパーのホールフーズを、1.5兆円で買収するという話が出ました。
ホールフーズをご存知ない方もいらっしゃると思いますが、日本で言えば成城
石井やスーパーの紀伊國屋みたいなもので、中高所得者層向けの大型スーパー
と想像して頂ければと思います。ホールフーズは全米他で460店を展開し、
売上高は157億ドルもある巨大スーパーです。

アマゾンはネットでの書籍販売からスタートし、あらゆるものをネットで販売
する世界最大の小売店なのですが、最近はリアル店舗にも力を入れていて、こ
れからのIT企業の方向性を示すものと言えます。体験するというリアルの良さ
と簡単手軽に時間を節約できるネットの良さを融合し、より顧客満足を高めら
れるサービスを提供できるかどうかが、今後企業が存続していく秘訣のように
思います。

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■ 1.RPAとは
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皆さんは"RPA"という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?これは、
ロボティック・プロセス・オートメーションの略で、分かりやすく言えば、
「パソコンを使った定型的な繰り返し作業を、ソフトウエアのロボットに肩
代わりさせて自動化する技術」と説明されています(「2017年5月23日付日経
新聞電子版」より)。つまり、単純作業を自動で行うソフトウェアですが、
その自動化する過程すらもAIの発達により、コンピュータが自分で開発して
いく、というわけです。

コンピュータはプログラムされた業務を高速で行うには長けていますが、
行うべき業務やそのやり方を判断するのは苦手でした。AIの発達によって、
今後はコンピュータが定型業務のパターンを学習し、それに見合ったプログラ
ムを開発、処理を行ってくれるのであれば、人海戦術に頼っていた作業効率を
何倍にもできる、ということになります。

この時に重要なのは、現状の業務をそのままソフトウェアに委ねるのではなく、
そのプログラムされたロボットがいることを前提に、業務を再設計するという
ことのようです。現状の業務フローを置き換えるだけでは、その一部業務を
ロボットに引き渡すための人手による作業というのが新たに生じ、逆に導入前
よりも工数がかかってしまい、むしろ不効率になるということもあり得るから
です。

しかしこの考え方はRPAだけにあてはまるものではなくて、システム導入全般
に言えることです。システムは決まった作業を行うことは人間より得意なので、
システムがどういうことが出来るかを分かった上で、業務プロセスを最も効率
的に行うにはどのように現行の業務を変えたらいいか、改めてデザインし直さ
ないと、真の効率化は図れません。

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■ 2.ゲームチェンジの時代

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ちょうど1週間前に、GEのCEOであるイメルト氏の退任が発表されました。
在任期間は16年ということで、その間に就任時は金融に頼っていたGEを、再び
製造業中心の会社に回帰しようとしてきました。目指す先は、「インダストリア
ル・インターネット」のビジョンを掲げて、IoTを駆使し、製造業とITの融合を
目指していた過程にありました。そういう意味では道半ばという感じもします
が、GEのように人材とお金があっても、巨大すぎてスピード感を持った改革は
難しいことの表れのような気がします。

最近のアメリカにおける時価総額の上位5銘柄は、アップル、グーグル(アルフ
ァベット、という持株会社で上場)、マイクロソフトフェイスブック、アマ
ゾンで、いずれもITで先行している企業であり、未だに成長に勢いがありま
す。イメルト氏就任の16年前はグーグル、フェイスブック、アマゾンは上場
していませんでしたが、今やいずれも時価総額が2倍、3倍と、企業価値が完全
に逆転し、企業の栄枯盛衰を表しています。

冒頭のアマゾンによるホールフーズの買収もそうですが、様々な業界でゲーム
チェンジが起きています。移動手段のウーバーしかり、宿泊施設ではAirbnb
自動車メーカーではテスラ、メディアではネットフリックス等、新たな事業モ
デルの誕生で、各業界で5年後、10年後の業界リーダーがどこになっているか
すら、想像がつかない状況です(それが今はまだ誕生していない会社であるこ
とも十分あり得ます)。

これだけITによる技術革新を起点としたイノベーションが起きる中で、ビジネ
スモデルだけでなく、会社内部のオペレーションも、劇的に変わる可能性があ
ります。RPAはその起爆剤となるかもしれません。なぜそう感じているかを次
で説明します。

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■ 3.経理業務も人とロボットの棲み分けの時代が来る!?

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最近私が引き受けている業務改善の一環で、管理資料を効率化する仕事があり
ます。業務を分析してみると、会計データを生成するプロセスで、元データを
エクセルで加工するのに膨大な工数がかかっていることが分かりました。そこ
で、その手順を整理・再構築し、マクロを組み込んだところ、ある1つの作業で
3日かかっていた作業が1時間で出来ることとなり、想定以上の効率化が図れた
とのことで、クライアント様には大変喜んで頂きました。その他にも工数がか
かっているエクセルでの加工作業がいくつかあり、現在はそれに取り組んでい
るところです。

エクセルのマクロというのは、マイクロソフトが考えたプログラム言語(VB
A)を使ってエクセル作業を半自動化するものですが、これには人間が専門
知識を以って開発する必要がありました。これがAIのさらなる発展により、
コンピュータがVBAをある程度の精度で自動で作ってくれるなら、大幅に人間
の作業量を減らせますし、さらに精度が上がれば専門知識がなくても作業の
自動化がすすめられますので、一気に広がる可能性があるのではと思ったの
です。

経理業務の中でも制度会計に関わる部分は、最終成果物がルールに基づくもの
であり、定型化しやすいものが多いので、AIを使って実際の銀行取引記録から
仕訳を自動生成するようなサービスが登場しています。そのうち、個人の立替
経費を定型フォームに領収書を貼り付けてスキャンすれば、立替経費を自動精
算してくれるシステムが出来るかもしれません。経費精算はそれなりに工数の
かかる業務で現在はワークフローで行うのが主流になりつつありますが、それ
でも各個人が入力をしなければならないので、経理知識のない方が入れると間
違いも起きやすく、入力や修正の手間もあるのですが、今後その作業が不要に
なる可能性があります。

経理業務がどんどんロボット(ここでロボットというのは物体としてヒト型を
しているものと言うよりはソフトウェアです)に置き換わる結果、経理人員の
仕事が減るのではないか、と思われるかもしれません。しかし、現在当たり前
のように会計ソフトで伝票を記載していますが、従来はこれらを全て紙の伝票
で書いて、転記し、ファイリングしていた作業が効率化しても、今度は会計シ
ステムのマスタ管理やアップデートのようなメンテナンスの仕事が増え、また
検証作業は必ず必要なので、その作業は紙ベースの時代と比べて網羅的、効率
的に行えるようになってはいますが、作業そのものがなくなっているわけでは
ありません。

人は基本的に変化を嫌う部分がありますが、一方で単純作業は面倒なものです。
また定型作業も飽きてきます。そのような作業部分はロボットに任せて、人は
より付加価値の高い業務、特に管理会計についてはまだまだ人が関与すべき
領域が大きい分野だと思っていますし、管理会計は何のための会計かと言うと、
経営のための会計ですので、有用な分析結果や将来の見込みを経営者に提供し
ていくことで、経理業務の価値を高めて行けると思っています。

このような棲み分けをしていくことで、経理部門(だけではなく管理部門全般)
のロボットとの棲み分け、ITとリアルの融合を模索していきたいものです。

ビズサプリグループでは、経理・財務業務の改善、業務再構築、システム導入
支援、またご紹介したようなエクセル帳票の改良等も行っておりますので、
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本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

 

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会計基準からみた「人」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.054━2017.6.7━


【ビズサプリ通信】

会計基準からみた「人」

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ビズサプリの辻です。ついこの前、新年のご挨拶をしたと思ったら、あっという
間に1年の折り返しの月がスタートしました。

今年の大手企業の就職活動の解禁日は6月1日。今年も本格的な就職活動が始ま
りました。今年はバブル期を超える空前の「売手市場」ということです。報道
では「ホワイト企業」であることをアピールするため、「有給取得率」「残業
時間の考え方」といったことを学生に説明する企業も多いとのこと。時代時代
で、就職活動も変わっていくものなのだなと改めて感じます。

企業がそこまで学生寄り添っていくのはなぜか。それはもちろん優秀な人材を
集めたいからです。優秀な人材は企業が成長していくために大変重要です。

今回は、人に関する会計基準を考えていきたいと思います。

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■ 1.人は資産

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「わが社にとって人は資産です。」「人が一番の財産です。」
いろいろな場で耳にする言葉です。

確かにそうです。組織が組織となるための必須条件は、複数の人がいること
です。人がいなければ会社も組織も成り立ちません。人がいて初めて物事が
動き始めます。

では、会社の実態を示す役割の決算書(財務諸表)では人はどのように表現
されているのでしょうか。

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■ 2.資産とは何か
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会社の資産は、決算書では「貸借対照表」の「資産の部」に計上されています。
例えば、会社が持つ現金や預金、株式、設備などの固定資産、ソフトウエア等の
無形資産、それから今後回収入金予定の売上代金である売掛金などが資産の部に
計上されます。

会計の世界では、資産とは経営資源であり、これからの企業の活動の使用する
ことで、将来収益・資金を生むものと考えます。法的な所有権があるかどうか
といった観点はあまり重視されません。

例えば、ある企業が製造機械をリース契約で「借りた」とします。リース契約
なので所有権はその会社が持っていません。分割でリース代金を支払いながら
リース期間にわたりその製造設備を「使用する権利」を持っていることになり
ます。
この場合、企業が資金を借りて設備を購入していることと同じ実態となると
考え、資産にリースをしている製造機械を「資産」として計上することになり
ます。法的に所有していなくても資産になるわけです。

ては、経営者が「一番大切な資産」といっている「人的資本」は決算書上
「資産」に計上されているのでしょうか。

 

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■ 3.人はコスト

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会計上は、「人的資本」は資産に計上されません。

新入社員が100名入社しても100人分の資産が増えるわけではありません。
人はあくまでも会計上はコストとなります。従業員に支払う給与は人件費
です。将来の投資となるはずの教育訓練の費用も「投資」といっていますが、
株式への投資や設備投資と異なり、資産となることはなく、「教育訓練費」と
いったコストになります。
優秀な人材には高い給料を支払いますから、コストが高くなることになります。

『週刊経営財務』(№3298 2月20日)に掲載の「人的資本のオンバランス
化」という論文によると、実は人的資本をオンバランス(貸借対照表にのせる)
ことについて、財務諸表の利用者により有益な情報を提供するものとして1970
年代から議論が行われてきたそうです。
ただ、日本基準だけでなく、IFRSや米国基準でも人的資本はオンバランスされ
ることはありません。
結局のところ、どの支出をどのタイミングで資産を計上するかについて、誰も
が納得する基準を作るのは難しいということのようです。決算書に資産として
計上するためには、ある程度客観的に「いくらで計上するか」、つまり測定が
できないといけません。恣意的な金額を勝手に決算書にのせるわけには
いきません。

上記の論文でも人的資本のオンバランス化については「財務諸表利用者の意思
決定に有用性があるという分析が行われていますが、現状、基準設定主体に
おいて取り上げる見込みはないと考えられる。」と結論付けられています。

「人は資産」ですが、会計上資産計上されることはしばらく無さそうです。


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■ 4.頭の体操として考えてみる「人の資産化」

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会計基準上は人が資産計上することはなさそうですが、頭の体操として「もし
資産計上するのであれば」と考えみたらどうなるでしょうか。

例えば新入社員は一律〇〇円。その金額は例えば平均勤続年数に支払う給料を
現在価値に引き直した金額とします。そして、教育にかけた教育訓練費も資産
の価値を増加する投資です。教育をすればするほど、資産価値があがっていき
ます。OJTを行った時間の上司の人件費相当額も投資となり部下の資産価値
を上げていきます。

上司は、部下の資産価値を上げるほど評価されることになります。基本的には
どんどん成長してしていきますので人の帳簿価額はどんどん上がっていきます。

ところが、「活躍が期待できない」となると資産ですので減損の検討の対象
となります。そして「ある価値」まで減損をしなければいけません。
「活躍が期待できない」のは、収益を上げられないだけでなく、部下の資産
価値を上げることができないこと、ルール違反等が多い等コンプライアンス
視点も当然入れて考えます。コンプライアンス経営進めて行くのであれば
当然の評価基準です。

その結果、貸借対照表を見れば、ブラック企業で人がすぐやめてしまったり、
従業員の教育に投資していない企業は、「人」の資産価値が小さいため
「人が大切にされていないんだな」とすぐにわかってしまうことにならない
でしょうか。

「人は資産」を決算書にも反映されると、ひょっとしたら就職活動中の学生も、
企業側も少し行動が変わったりするかもしれないですね。

本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

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