株式会社Bizsuppliのメルマガバックナンバー

会計を中心とした実力派プロフェッショナル集団であるビズサプリのメンバーが、旬のネタや色々な物事への洞察を記載したメルマガのバックナンバーです。

船に関わる問題

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.126━2020.11.4 ━
【ビズサプリ通信】
▼ 船に関わる問題
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ビズサプリの三木です。
私の趣味はスキューバダイビングで、今年も何度となくダイビング船に乗りました。私は船酔いには強いほうなのですが排気ガスは苦手です。昔に比べて車の排気ガスはずいぶんきれいになりましたが、船の排気ガスは今もかなり臭うことがあります。今回のメールマガジンでは、SDGsに関わる様々な船の社会問題についてご紹介します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 1.船の環境問題
----------------------------------------------------------------------
東京湾にはホンビノス貝という貝が住み着いており、大型で味も良いことからスーパーでも目にすることが増えてきました。この貝はもともと北米などに生息していました。大型の貨物船などは空荷の時に安定を保つために海水(バラスト水)を内部タンクに取り入れ、荷物を積み込む際に吐き出します。ホンビノス貝はこの水に混ざって東京湾に運ばれてきました。また、ムラサキイガイという貝も船によって日本にやってきた外来種です。こちらはバラスト水ではなく、船底に張り付くことでヨーロッパからやってきたと考えられています。食材としてはムール貝と呼ばれる美味しい貝ですが、ロープなどに群生して固着してしまう性質もあって、世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれています。このムラサキイガイフジツボなどが船に張り付くと燃費や速度に悪影響が出るため、船底には付着防止効果のある塗料を塗ることが一般的です。以前に使われていた塗料(トリブチルスズ)は毒性が強く、現在日本では別の塗料(トリフェニルスズ類)が用いられています。しかしながら国によってはルールが杜撰であること、後述する便宜置籍船などで取り締まりが緩い国があることなど、この塗料による環境問題も完全には解決されていません。
排気ガスについては、実は船舶の排ガス規制は自動車の規制に比べて大幅に遅れてきました。特に大型船舶はコスト削減のためC重油と呼ばれる硫黄分の多い燃料を使うことが多くSOxが削減しづらかったこと、活動場所が主に人のいない海上であること、コスト競争といった事情から、排ガス規制が進まなかったものです。さすがに近年は規制が厳しくなっており、LNGなど排ガス対応しやすい燃料にシフトしつつあります。そのほか、石油タンカーが事故を起こした場合の環境問題も時折ニュースになります。タンカーは輸送効率を上げるために大型化が進んでおり、その分、事故を起こした場合は油の流出量も大量となってしまいます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 2.便宜置籍船の問題
----------------------------------------------------------------------
船舶の事故などがあると、よくパナマ船籍とかリベリア船籍といった言葉を耳にします。船籍とは船の国籍とも言うべきもので、船舶はどこかの国に船籍を登録する必要があります。船籍は船主の国籍に合わせる必要は無く、船籍を取得するのに必要な要件は国連海洋法条約という条約に基づき、それぞれの国家が定めています。従って、条件さえ合えば、例えば海が無いモンゴルに船籍を置くことも可能です。実際にいくつかの国は税収増のために船籍を誘致しており、こうして船主の国籍とは無関係の国に船籍を置く便宜置籍船が発生します。例えば日本郵船有価証券報告書を見ると、「船舶保有・貸渡関係会社等は、専ら船舶保有・貸渡を行うためにパナマシンガポールリベリア等に設立した子会社及び関連会社等であり、当社はこれらの会社の概ね全社から船舶を定期傭船の上、運行しています」との記載があり、海外子会社等を通じて便宜置籍船を運航していることが分かります。船籍の誘致のためには、税率を低く抑える、乗組員の国籍条件や資格要件の緩和、定期検査や安全設備の基準の緩和、殆ど取り締まりを行わない等の方法が取られます。船籍が異なれば船主の国の法律は該当船舶に適用されません。便宜置籍船を利用すること自体は適法なコスト節減ですが、乗組員の劣悪な待遇、安全管理や環境対策の軽視、違法取引や違法な漁業に使われるといった多様な問題の背景となってしまうケースも少なくありません。もちろん、前述した環境問題への影響も生じてきます。この問題の根底には国家の主権が関わるため、便宜置籍船自体を廃絶することは容易ではありません。しかしながら問題を放置すると環境問題や海難事故、人権問題といった多様な問題につながることから、日本を含む多くの国ではポートステートコントロールという方法で対応を図っています。これは一定条件を満たさなければ入港を認めないもので、例えば救命設備、消火設備、乗組員の保有資格などをチェックしたりします。こうした努力により徐々に好転はしているものの、運送コストの安さが売りである海運では安全マージンを切り詰めてコスト競争をしている現実もあり、便宜置籍船による問題は今も海運業界の大きな課題となっています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 3.船の解体の問題
----------------------------------------------------------------------
2014年に沈没、約300名もの犠牲者を出した韓国のセウォル号は、もともとは「フェリーなみのうえ」号として鹿児島-沖縄航路に就航していた船が韓国の業者に売却されたものでした。セウォル号が沈没した年に、「かめりあ丸」という船がインドネシアに売却されていますが、これは東京-伊豆諸島の航路に就航していた船で、私も幾度も乗船したころがあります。このように、船が古くなると、燃費や安全基準、環境基準、保守コスト等の関係から、他の国に売却されることはよくあります。何か国にも渡るケースもあり、傾向としては徐々に船舶管理の弱い国(安全マージンを削りやすい国)に転売されます。しかしいつかは寿命となり、漁礁として沈められる等の例外を除いては解体処分されます。特に今は、新型コロナによって客離れが生じ、解体待ちの客船が増えているようです。大型船舶は頑丈かつ巨大な鉄の塊で、塗料などの化学物質、貨物船では運搬物の残滓もあるため、解体には本来、大型の設備、高度な安全管理、工程管理が必要です。しかしながら船主が解体コストを忌避する場合、解体のために途上国に船舶を売却し、そこで人海戦術で解体を行うこともあります。一番安価な解体方法では、満潮の時に遠浅の海岸に全速力で船を突入させて座礁させます。そこで残燃料、ボート等の装備品、消火設備などは全て回収業者に売却され、残る鉄は人手で切断してスクラップ業者に売却されます。違法スレスレの解体を行う場合、船籍も変えて責任追及を難しくするなど、犯罪まがいの行為が行われることもあるようです。こうした解体現場では環境問題や安全管理も手薄ですから、転落事故等も多く、化学物質なども垂れ流しとなる懸念もあります。指定した解体方法が実施できる国にしか船舶を売却しないといった対応も取られつつありますが、貧困層の雇用や鉄資源の確保など受入国にとっては必須のビジネスという側面もあって、状況改善は簡単にはいきません。最も有名なのはバングラディシュのチッタゴン(チャットグラム)という場所で、私も訪問したことはありませんがネットで検索すると様々な写真が出てきますので、ご興味ある方は調べてみてください。

今回は会計とは全く関係なく、社会問題を取り上げてみました。本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

菅内閣発足

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.125━ 2020.10.15━━

【ビズサプリ通信】

1. 菅内閣発足

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ビズサプリの花房です。9月16日に菅義偉総裁が新首相になり、菅内閣が発足
してから1か月がたとうとしています。目下の課題は、新型コロナウィルスの
拡大防止に向けた取り組みと、それによりダメージを受けた景気への迅速な対応
と思いますが、長期的には、日本という国が活力を取り戻し、持続的な発展を
維持するための改革が求められていると言えるでしょう。

 通常は、首相就任後に行われる所信表明演説は、安部首相の辞任で急遽交代
したこともありまだ行われていませんが、新内閣で河野太郎行政改革・規制改
革相、平井卓也デジタル改革相の起用から分かることとして、行政改革・規制
改革を推し進め、行政のデジタル化を推進することに本気になって取り組んで
行く菅首相の強い意志が感じられます。

 河野太郎行政改革・規制改革相は早速、行政手続きで極力ハンコを廃止する
ことを求め、規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)を設けるなど、
古くからの慣習を今の時代に即した形で変えていく動きが始まりました。

 また平井卓也デジタル改革相は、行政のデジタル化を牽引する「デジタル庁」
創設に向けて準備を始めましたが、今後行政手続きのオンライン化を中心に、
普及が遅れているマイナンバーカードの普及と合わせて、一気通貫で迅速な行
政手続きが出来るようになることが期待されます。

 前政権において、株価を除きなかなか日本経済の成長が実感出来なかった中、
今回の新型コロナや近年の自然災害の増加による閉塞感の中、明るい未来を描
けるよう新首相には大いに期待したいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2. 将来なくならない仕事

----------------------------------------------------------------------

 以前から言われていることとして、文明が発達してもなくならない
重要な仕事として、食・物流・医療、の3つがあります。食と医療は人が生きて
いくためになくてはならないものですし、どれだけITが発展して情報のやり取
りはオンラインで出来るようになったとしても、最終的にモノのやり取りは物
理的な移動を伴うからです。

 ただし、その有り様はここにきて、環境の変化と技術の発達により、大きく
変わろうとしています。特に日本においては、今後の労働人口の減少に対応し
て生産性の向上を図ることが課題です。

 食については、農業・漁業といった一次産業を担っている方はかなり高齢化
しており、若者でその世界に飛び込んでくる人がいるといっても、新規就業<
リタイア数、の状況において、従来のやり方では生産量を維持出来ません。
より少ない生産者で従来以上の生産量を確保するためには、ITによるデータ活
用やドローン・ロボット・自動操縦技術等を駆使して実際の農作業自体を人手
がかからなくても出来るようにし、人はオペレーションルームのようなところ
でデータを分析して(それさえもAIが出来るようになるかもしれませんが)、
遠隔で機械を動かすことが一次産業に従事する人の働き方になるかもしれませ
ん。またすでに市場に出てきていますが、人工肉のような、工業製品としての
農産物・畜産品も当たり前になる時代が、何年先か分かりませんが、来るでし
ょう。

 医療については、オンライン診療やオンライン処方が議論され、安全性を担
保する仕組みが確立されれば、規制が緩和されていくでしょうし、また手術も
ロボットが行うような時代が来るかもしれません。

 そして物流については、アマゾンをはじめとするEC取引の増大により、少量
で高頻度の配達が増えていた上に、コロナにより、それが加速している状況で
す。物流現場で働く人にとっては決して楽な仕事でないため、こちらも働き手
が不足している状況の中、解決策としてはやはりドローンやロボットを活用し
た自動配送技術ということになるでしょうか。

 一方で、経理の仕事や会計士の仕事は、AIの発達により将来はなくなる仕事
と言われています。ペーパーレス化や自動仕訳により、従来の証憑整理や伝票
記帳の仕事は確かになくなり、監査業務も会計データが丸ごと電子化されれば、
AIによる分析等でデジタル監査が進むと思われます。

 確かに、技術の発展により、従来人手がかかっていた仕事がコンピュータや
ロボットといった機械に代替される部分はありますが、しかしながらそれは一
面的な見方であって、経理や監査の仕事で言えば、そもそもの自動化の仕組み
を作り上げたり、出来上がったものを分析して今後の経営に役立てるための仕
事は、少なくとも近い将来においてはなくらないものと考えます。

 将来もなくならないであろう仕事として、食・物流・医療、の3つを挙げまし
たが、これらも現場作業においては人から機械への代替は進んで行くのは確実
であり、ただ生産そのものやサービス自体がなくならないだけであり、その意
味においては、会計に関する仕事も同様と言えます。

 技術の発展は、ツールの進化であり、それを使いこなすのはやはり人ですか
ら、会計の世界においては、いわゆるルールベースの財務会計分野はどんどん
自動化、機械化は進むと思いますが、それを活用して経営判断に役立てる管理
会計分野においては、まだまだ人が介在することで、より良いものを作り上げ
ていける分野だと思っています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

3. デジタル化より重要なこと

----------------------------------------------------------------------

 菅新政権が掲げるデジタル化の推進は、規制緩和と合わせて、我々の実生活
をより便利にしてくれるものであることは間違いないと思います。またその過
程では、新サービスが生み出され、世の中に普及することで、ビジネスの発展
も期待されます。それが行政サービスの効率化や社会保障の充実に繋がり、一
方で税収の増加になれば、日本の抱える大きな課題解決の処方箋の1つになりう
るでしょう。

 一方で今回のコロナ騒動への対応でリモートワークが普及し、大手企業を除
けば在宅勤務の割合は減りつつあるものの、従来に比べて物理的に働く場所の
制約は減ってくると思われます。これを機に、通勤の頻度が減ったことで、住
環境の良い郊外に引っ越す方も出てきていると聞きます。生活の糧が得られる
のであれば、自然が多くより環境のいいところに住みたいというのは当然かも
しれません。働く意味というのを、改めて考えさせられます。

 戦後、日本は世界に類を見ない経済回復を遂げ、成長発展してきましたが、
バブル経済の崩壊とともに、失われた20年とか30年と言われる、景気低迷から
完全には抜け出せていない状況にあります。そこに今回の新型コロナにより経
済活動が制限されていますから、新型コロナのワクチンや治療薬が世の中に出
てきてインフルエンザ並みに収束するまでの間は、しばらくは閉塞感のある状
況が続くのではないかと思います。

 この20~30年の間に、世界の様々な国で経済が発展し、人口増、経済発展で
食料や原材料と言った資源の獲得競争が加速し、工業化の発展で二酸化炭素
排出に歯止めがかからず、それが異常気象の遠因と言われています。そうする
と、いつまでこの経済成長を前提とする従来の資本主義を貫くことが、本当
に世界にとっていいことなのか、という議論も増えてきていると思います。

 資本主義に代わる経済体制が発明されない限りは、世界の多くの国で資本主
義体制での経済成長を続けていかなければなりませんが、資源の枯渇とともに、
いつかは限界が来るのは間違いなく、それがいつかは誰にも分かりません。
デジタル化は、目の前の課題を解決するツールではありますが、政権に本当に
考えてもらいたいのは、日本の継続性を確保するための、将来のグランドデザ
インです。そのために、縦割り行政の打破だけでなく、民間の智慧を大いに取
り込んでもらいたいと思います。

ビズサプリグループでは、将来なくならない仕事としての、管理会計支援、そ
れができる人材による常駐型アウトソースも行っておりますので、ご興味あり
ましたらご相談頂ければと思います。
http://www.biz-suppli.com/menu.html?id=menu-consult


本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

中小企業の経理業務について

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.124━2020.9.23━

【ビズサプリ通信】

▼ 中小企業の経理業務に求められること

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ビズサプリの泉です。

あいかわらず、新型コロナ感染症について大きな改善もなく、近頃はいわゆる
withコロナの生活スタイルが確立されつつあるなと感じています。
特にベンチャーを中心にリモートワークが定着しつつあり、通勤電車に人が
戻ってきていると感じるものの以前とは全く違う風景となっています。
実際、飲食店では廃業するところも増えてきていると聞いています。

今回は、中小企業の経理業務について考えてみたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 1.中小企業とは

----------------------------------------------------------------------

そもそも、中小企業というのはどういう会社でしょうか。法律上、いくつか
定義があります。

中小法人(法人税法):
普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が
1億円以下であるもの
中小企業者(租税特別措置法):
(1)資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人のうち次に掲げる法人以外の法人
・ その発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を同一の大規模法人に
所有されている法人
・ 上記のほか、その発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を複数の
大規模法人に所有されている法人
(2) 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

中小企業者(中小企業基本法):
業種によって条件は異なるが、例えば、卸売業であれば、資本金の額又は出資の
総額が1億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

今回は、厳密に定義するのではなく、非上場企業でIPO準備会社や上場会社の
子会社ではない、典型的なオーナー企業で従業員30人~50人未満ぐらいの会社
ということで考えてみたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 2.中小企業の経理の役割

----------------------------------------------------------------------

以前のメルマガでも書いたとおり、従業員50人規模の会社は、経営者が各人に
指示を与えるのが難しくなるため、中間管理職がおかれ組織として業務の分業化
や組織化が進んでいきます。
管理部門から経理部門が分離され、記帳や支払い、経費精算といったいわゆる
経理業務の専任担当者がおかれます。

会社の事業も拡大し、業績見込みや資金繰りなどそれまでは経営者が頭のなかで
把握できていたことが徐々にわからなくなり、経理担当者は必要に応じて、資金
繰り表などを経営者に提出することになります。

経理は「経営の羅針盤」とよくいわれますが、実際に羅針盤として重要性が高く
なるのは、それまで経営者が見える範囲ですべてかじ取りをしていたところ、
それが難しくなるこのフェーズだといえます

業務経験上、経営者との話のなかで具体的に気にするのは次の3点です。
・会社が儲かっているか⇒業績
・資金ショートしないか⇒資金繰り
・できるだけ税金を少なくしたい⇒節税

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 3.業績の把握について

----------------------------------------------------------------------

経営者は当然、儲かっているかを知りたいと思っており業績を報告することが
必要となります。
もう少し具体的にいうと、会社の業績が今どういう状況かを把握し、儲かって
いるあるいは儲かっていない場合にどういう手を打つかの意思決定をするため
に業績の報告を必要とします。身近な例でいえば、商品の販売価格の値上げ・
値下げや新店の出店の意思決定などとなります。

ここでいう儲かっていると儲かっていないというのは、単に黒字赤字だけでなく、
「想定より」売上や利益がでているかでていないか、ということになります。
ということは、少なくとも粗々でも構わないので、想定となるべき予算的なもの
を作り、月次決算により実績との比較をすることが必要になります。

月次決算において前払費用などの経過勘定や償却費を均してできるだけ発生主義
にしたほうがいいという意見もありますが、私は上記のとおり予算との比較を
することが重要であることとすると、概算や均した費用は計上せず、支払ベース
での比較としたほうが、予算が直観的に立てやすいとともに実績との比較もしや
すくなると考えます。

また、年次決算と異なり月次決算を行う理由は意思決定のためですので、意思
決定が誤らない程度の精度でよく、業績報告(月次締め日)をできるだけ早く
することが重要となります。月次決算早期化のためにはできるだけ作業を減らす
ほうがよいため、経過勘定の処理などはできるだけ避けたほうがよいといえます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 4.資金繰り

----------------------------------------------------------------------

会社の経営において、資金繰りは最も重要な項目の1つであり、たいていの業種
において売上の入金よりも仕入や設備投資などの支払のほうが先行するため、
経営者は常に資金繰りを気にしています。

当然ですが、資金繰りは将来に関することですので、もちろん、将来予測のため
に実績を勘案しますが、実績それ自体はそれほど気にしないことになります。

一般的な資金繰り表では、現在の現預金残高に予算に基づく収支予定を勘案する
ことにより、将来の現預金残高を算定します。もし不足するようであれば借入
などの調達を検討することになります。
業績把握ための予算と資金繰り表作成のための予算を2重で作成にならないように、
予算はできるだけキャッシュベースになるように経過勘定などは利用しないほうが
よいことになります。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 5.節税

----------------------------------------------------------------------

利益が多く出ている会社において、経営者がもう1つ気にするのは節税です。
税金の計算は実績だけに基づいているように思えますが、節税は利益が予想さ
れる段階で事前にアクションを起こすことが必要な場合が多く、決算日をこえ
たあとでは打つ手が限られます。

事前という意味では、消費税の簡易課税の有利不利や役員報酬はほぼ事業年度
の始まる前、始まった直後くらいですし、備品を購入したり、倒産防止共済や
保険などの加入についても利益が概ねみえてきた時期に検討することになります。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 6.やはり予算(的なもの)が重要です

----------------------------------------------------------------------

経理はどうしても、実績の正確な計上というところに注力しがちです。もちろん、
あまりにも不正確な場合、羅針盤にはなりえませんので必要ではあるものの、
上記で述べた通り実績のみならず、将来の予測が大変重要といえます。

もちろん、上場会社のような十分な人的リソースのない中小企業において予算を
策定することはスキル的にもリソース的にも難しいですが、予算的なものを作成
し、きちんと比較、年度末の着地見込を示すことが中小企業の経理部門において
も重要な業務ではないでしょうか?

ビズサプリグループでは、上場会社のみでなく中小企業における管理会計
ついてもサポートから実際の策定まで幅広く業務も行っておりますので、何か
お役に立てることがありましたらご相談ください。

本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

新型コロナ禍における監査役や内部監査の監査について

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.123━2020.9.02 ━
【ビズサプリ通信】
▼ 新型コロナ禍における監査役監査と内部監査
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ビズサプリの久保です。日本の新型コロナ感染症の新規感染者数はやや減少傾向になってきました。秋から冬にかけて、また感染拡大するという予想が見事に外れることを祈っています。ロックダウンを行わなかったスウェーデンでは感染者が一時増加したものの、現在はかなり減少しています。ロックダウンしなかった結果、経済のマイナス影響も最小限に抑え込めているようです。結局、何もしないのが正解だったのかもしれませんが、ファイナルアンサーは、来年以降に分かると思います。今回は、この新型コロナ禍における監査役や内部監査の監査について考えてみたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 1.厳しい監査環境
------------------------------------------------------------------リーマンショック後における我が国のGDPの下落は、17.8%(2009年1~3月期)でした。一方、今年4~6月期のGDPはそれを大幅に上回るマイナス27.8%でした。世界銀行による「世界経済見通し(GEP)2020年6月版」では、2020年の世界経済成長率は5.2%減になるとの予測となりました。これは第二次世界大戦以来最悪の景気後退とされています。 リーマンショックは、100年の一度の危機と言われましたが、それを上回る状況になりつつあることを認識しなければなりません。 感染症拡大予防の観点から人々の行動変容が求められ、これにより事業活動に大きな影響を与えています。その中で、テレワークが奨励されていますが、これは監査役や内部監査も例外ではありません。国内出張は最小限に制限され、海外への渡航は難しい状況です。特に、感染した際に重症化しやすい高齢の監査役は、本社の執務室または自宅からのテレワークを中心とした仕事にならざるをえないと考えられます。監査環境に制約がある一方、監査上の問題はむしろ増加傾向にあります。日本公認会計士協会は「上場会社等における会計不正の動向(2020 年版)」において、2020年3月期の会計不正は前年から7割増加したと公表しています。また、コロナ禍においては、事業環境が大きく変化するため、それに伴う事業リスクやコンプライアンスリスクなどを考慮することが必要となります。テレワークによる情報漏洩リスクも気になるところです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 2.監査手続の制約とその対策
------------------------------------------------------------------
コロナ禍においては、移動制限や立ち入り制限などのために、事業拠点や子会社への往査が制限されます。現地・現場への往査ができない場合は、代替手続を実施することになります。契約書等の紙媒体の文書はPDFファイル等に変換することにより、パソコン経由で見ることができます。紙媒体の文書を電子媒体に変換する作業は、被監査部門に依頼するか、または国内であれば、少人数の監査補助者等が現場に出向いて、変換作業を行うことも考えられます。契約書などの監査上重要と考えられる文書に関しては、まずは電子媒体を閲覧するとしても、後日原本との照合を行うことも必要です。これは、少人数の監査補助者等が現場に出向き、短い時間に複数の重要文書一度にまとめて照合すれば効率化できます。電子署名が一般化するまでは紙媒体での原本保管はするとしても、DX(デジタルトランスフォーメーション)の見地からは、電子媒体での保管・閲覧する仕組みの導入も必要と思います。報告を受ける、説明を求める、質問を行うなどの監査手続は、オンライン会議システムを利用した面談により実施することができます。オンライン面談を利用すると移動時間が不要になり、国内だけでなく海外における事業拠点の役員・従業員とも面談できるというメリットがあります。 工場や事業拠点でスマートホン等を利用することにより、オンラインによる現場視察の実施も可能です。本社や自宅に居ながらにして、在庫の状況、工場設備、事故現場の様子などを見て報告を受け、質問をすることも可能になると思います。 前述のとおり、現場担当者がスマートホン等を操作するのではなく、少人数の監査補助者等が現場に出向いて、現場から実況中継する方法も考えられます。オンライン会議には、実際に会って話をしないと実感がわかない、顔色が読めない、雑談がしづらいなどの欠点があります。しかし、一方でその効用が大きいことから、コロナ禍が過ぎ去った後にも継続して利用すべき監査手法ということが言えます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 3.事業環境の変化と監査上の対応
-------------------------------------------------------------------
コロナ禍においては、多くの業種で事業環境が大きく変わります。業績が悪化する会社では、利益の過大計上を行う粉飾決算のリスクや、業務の混乱時に乗じた不正行為などが想定されます。業績不振への対策としてM&Aや新規事業への進出が行われる場合には、これらに関連するリスクも考慮する必要があります。コロナ禍においては、監査手続の制約は避けられません。これまでとは異なる代替手続を実施する場合もありますが、その十分性に留意が必要となります。コロナ禍において、多くの企業に共通する情報漏洩リスク、コンプライアンスリスク、財務リスクとそれらに対する監査上の対応について、ここで少し検討してみましょう。
(1) テレワークの導入による情報漏洩リスク
テレワークには、インターネット回線を専用回線化するVPN(仮想私設網)の利用が欠かせません。しかし、VPNのパスワードが流出しているという報道がありました(日経新聞2020年8月24日「テレワーク、VPN暗証番号流出 国内38社に不正接続」)。昨年9月にもVPN機器にセキュリティ上の脆弱性が発見されたとの報道がありました。脆弱性を抱えたままインターネット上で運用されているVPNサーバーが世界で1万4500台あり、そのうち1511台が日本国内にあるとしています(日経XTech 2020年4月22日「パッチを当てても駄目、テレワークのVPNに潜む致命的な脆弱性の恐怖」)。サイバーセキュリティに関しては、高度な専門知識と経験が必要になるため、外部専門家による診断を受けることが必要です。情報漏洩事故を起こすと多くの時間と費用を費やすことになります。予防のためのコストは、それに比べてかなり安いと考えてよいと思います。外部専門家の診断や助言を受けているかどうか、またそれに対してどのように対応したかが、監査上の留意事項になります。
(2) 資金繰り対策
 資金不足に陥る会社は資金調達が最重要課題となります。このような場合には事業継続に懸念が生じ、財務諸表には継続企業の前提に関する注記の記載が必要になる可能性があります。 継続企業の前提に関する注記を記載している上場企業は現状57社ですが、そのうち今年1月以降に新たに注記を付した会社は、その半数近い23社に上っています(SBI証券「継続企業注記銘柄」8月27日現在)。リーマンショック後にはこれが急増し100社を超えていたことから、今後この注記を付す会社が増加するものと見られます。 業績が悪化する会社においては、資金繰り計画に留意し、会計監査人と早めに協議することが必要となります。
(3)コロナ感染対策  感染予防対策だけでなく、役員・社員・顧客などの感染発覚時の対応についての計画立案が必要です。感染が発覚した場合に、隔離や営業停止などによる事業インパクトが大きいと予想される事業領域には、感染予防対策を強化することが必要になります。 監査においては、自社の事業領域や事業拠点ごとに、予防対策と発覚時対応の両方が適切であるかどうかに留意することが必要です。
(4)労務リスク
テレワークによる勤務状況の監督や、業績不振に伴う給与カット、希望退職の募集などに伴う労務リスクも考えられます。この分野も監査の重点領域になるでしょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 4.事業リスクの再評価とリスクアプローチの徹底
------------------------------------------------------------------
 事業環境の大きな変化に伴い、以上のような新たなリスクが想定されます。監査役監査や内部監査においては、コロナ禍の影響を十分考慮し、事業リスク全体の再評価を行うことがまず必要です。その結果を監査計画に反映しましょう。効率的かつ効果的な監査を実施するためには、徹底したリスクアプローチの採用が欠かせません。
ビズサプリグループでは、事業リスク評価や内部監査のお手伝いを実施しています。お気軽にお声がけください。
本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

M&Aあれこれ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.122━2020.8.19 ━
【ビズサプリ通信】
M&Aあれこれ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ビズサプリの三木です。
暑い日が続きます。今年はマスクを着用することが多く、また一段と暑さを感じてしまいます。熱中症にならないよう乗り切りたいものです。このところ会社のM&Aに絡む仕事が立て続けに舞い込んでいます。新型コロナによる景気への影響は産業によってムラが大きく、街中の居酒屋やレストランは廃業してしまったところもある一方で、7月初旬に公表された日銀短観でもITや建設はむしろ景気の見立てがプラスとなっています。もともと事業承継に悩んでいた会社が前倒しで売却に動いたり、コロナショックがむしろプラスに働いた会社がM&Aの好機と捉えたりしているケースもあるかもしれません。
今回のメールマガジンでは、そんなM&Aの大まかな流れと、私なりに感じている注意点を取り上げます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 1.M&A内容の検討
----------------------------------------------------------------------
■ マッチングまず買い手と売り手の候補がいなければM&Aは始まりません。このマッチングはM&Aの仲介会社や金融機関が行うケースが多いですが、当然ながら最初は匿名で仲介者を介して業種、規模などの情報をやりとりしつつ、先のプロセスに進むかどうかを検討していきます。売り手と買い手がある程度絞られてきたら、秘密保持契約を締結し、買い手側企業が意向表明書をまとめます。これは、希望する提携形態、希望価格、スケジュール、必要な意思決定プロセスなどをまとめたもので、ここで指定した方式に沿ってその後の手続が行われていくことになります。
デューディリジェンス買収過程の大きな作業として、DD(デューディリジェンス)があります。これは買収監査ともいわれ、買い手が売り手の帳簿や各種契約、ビジネス状況や社内管理体制を細かくチェックして、売上は帳簿に記載されている通りか、隠れ負債は無いか、後々問題となるような契約を締結していないかなどをチェックしていきます。このDDは、財務、法務、ビジネスの各方面で行われますが、短期間で売り手の会社の状況を見極めなければならないため、弁護士や公認会計士など専門家が中心となって調査を進めていきます。
■ 価格算定DDと同時進行で価格の算定が行われます。価格算定には様々な方法がありますが、主だったところでは純資産法(帳簿上の純資産をベースにする)、マルチプル法(類似上場企業の株価をベースにする)、DCF法(将来の事業計画上のキャッシュフローを割引計算する)があります。とはいうものの仮定を少し変えるだけで価格は大きく変わりますし、売り手は高く、買い手は安く買いたいという交渉要素もあります。M&Aにおける価格算定は絶対的なものではなく、その後の交渉のベースとなるものと言えます。
■ ストラクチャ検討もうひとつ並行して進めないといけないのが、ストラクチャの検討です。単純に株式を移転するM&Aもあれば、持株会社を作ってぶら下げる方法、営業譲渡する方法など様々な方法があります。買い手または売り手が複数社のグループである場合、どこの会社がどこの会社の株を所得するのか決める必要もあります。取得も100%とは限らず、マイノリティ出資にとどまるケースもあります。こうしたストラクチャをどうするかにより、その後の提携の仕方だけでなく、税務も大きく影響を受けます。例えば、売り手企業に多額の繰越欠損金があれば、それを節税に有効活用できるスキームにしないと損です。また、M&Aの後には連結で多額ののれんが生じることも多く、買収後に自社の業績にどう影響するのかも検討が必要です。ストラクチャは、最初からある程度描けていることもあれば、DDの結果を踏まえて修正することもあります。また、業態によっては、監督官庁の許認可や、独占禁止法などの法令に触れないかようなストラクチャにする必要があります。クロスボーダーM&Aでは現地国の法令チェックも欠かせません。もちろんDDで出てくる情報は、ストラクチャや価格算定上も極めて重要です。DDの結果による補正を加えながら価格とストラクチャを練り上げていきます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 2.クロージングと契約
----------------------------------------------------------------------
DDを経て売り手と買い手が折り合ったら、クロージングに向かいます。クロージングの上での重要事項としては、契約書の締結と価格決定があります。会社の価格算定は一定の基準日をもって行われますが、会社の価値は実際には日々変動しています。このため、大きなM&Aでは価格修正条項を付して、基準日以降に発生した巨額損失などについて、一定の算式で価格を調整する文言を付け加えることがあります。また、バイオベンチャーなど変動要素の大きな企業を買収する場合は、買収後に一定の目標を達成した場合に事後に買収価格を修正し、追加支払いをする条項(アーンアウト条項)を付け加えることもあります。なお、価格修正条項やアーンアウト条項は、理屈の上では極力取り入れたい条項に思えますが、適切に計算式を定義できなければ意味がありませんし、計算式に曖昧さが残ると逆にトラブルの種にもなります。このため中小企業のM&Aではこうした条項は設けないことが多く、短期的な損益よりも10年20年の長期スパンで企業価値を図る視点で交渉が行われることが多いように感じます。このように価格決定と変動にかかる計算式を確定出来たら、それを盛り込んだ最終契約を策定します。この最終契約に盛り込まなかった事項は後で取り返しがつきませんので、弁護士やM&Aの専門家を交えて慎重に検討する必要があります。長かったM&Aプロセスも大詰めですが、最後の最後まで気が抜けません。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 3.Post Merger Integration
----------------------------------------------------------------------
株式の移転が成立したら、登記など株式関連の事務の作業を経て、次にPMI(Post Merger Integration)を行います。PMIは、M&A後に子会社にしておくのか吸収合併等に進むのかによっても変わりますし、子会社にしても少数株主がいるのか、オートノミー経営のスタイルをとるのか等によっても変わってきます。PMIはどのような形態が企業価値を高めるかという経営判断により範囲や深度が変わるものであり、統合すればよいというものではありません。やみくもな統合は亀裂を招くこともあり、加減が重要です。一般的に経理や総務といった管理部門は集約することでコストダウンを図ることが多いですが、人事についてはビジネスに合った給与水準やインセンティブ形態を維持するために、敢えて集約しないことも多くあります。システムも大きな要素です。システムが分かれたままだと非効率ではありますが、システム構築にはお金がかかるため、次のシステム更新のタイミングまでは統合しないという判断もあり得ます。現実には、システムが複雑すぎて手を付けられず、複数のシステムを跨いだ業務運営が長く続くケースも見受けられます。合併まで進む場合で、特に相互の規模感が対等に近い場合は、内部で主導権争いが生じることもあります。こうなると本業に割くべき力をそがれてしまうため、意図的に買い手でも売り手でもない新しい会社という社内文化を作っていくケースもあります。例えば、新社名や会社のロゴ、社内制度などは一新してしまい、人事についてもゼロベースで再構築するようにする等です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 4.M&Aで躓かないためには
----------------------------------------------------------------------
M&Aの過程には様々な困難があります。価格が折り合わずに頓挫することや、中小のオーナー企業では旧オーナーの待遇が決まらない、あるいはオーナーの「心変わり」で案件自体が消滅することも珍しくありません。
コンプライアンス近年は、上場企業のみならず非上場企業でも大企業ほどコンプライアンス意識は高くなっています。一方、小規模なオーナー企業では、公私の区別が不十分で黒とは言わないまでもグレーな支出が行われていることもあり、それがネックとなってM&Aが進まないことも増えているように感じます。今後事業承継を考える小規模企業では、「身ぎれい」にしておくことも選択肢を増やすことにつながりそうです。
■ DDを充実させるM&Aのゴールは最終契約書ではなくビジネスの発展です。M&Aで失敗リスクはゼロにはできませんが、不要なリスクは当然避けるべきであり、そのためにはきっちりしたDDが必要です。例えば、物流を統合したいという目論見のあるM&Aでは、物流システムは統合できそうか、そのためにはどの程度の期間やコストがかかりそうかもDDのテーマとなります。技術者が欲しいM&Aであれば技術者の給与水準が課題となります。DDは弁護士や公認会計士といった専門家に任せっきりでは、こうしたビジネスの観点が手薄になります。
「M&Aを通じて何を目指したいのか」についてDDチームとしっかりしたコミュニケーションを取る必要があります。
■ 高値掴みを避けるしっかりしたDDを行うことは、買収したい一心で高値掴みすることを防ぐ意味もあります。M&A後に生じるのれんは、ひとたび減損となると業績へのダメージが甚大です。そもそも高値掴みをしてしまうとのれんも多額であり、すぐに減損の危機にさらされます。亀田製菓は2019年2月に株式会社マイセンの株式90%を取得し子会社化し182百万円ののれんを計上しましたが、それからほぼ1年後の2020年3月期の決算で145百万円ののれんの減損(おそらく償却額を除いた全額)を計上しました。これは亀田製菓としては規模がそこまで大きくない話でしたが、高値掴みにより短期間で多額の減損を計上すれば、経営責任を問われることは避けられません。
■ 買収前の体制法令違反に鈍感な会社や管理体制が極端に貧弱な会社を買収すると、特に上場企業では買収後に大きな問題を生じる恐れがあります。買収後に経理が混乱しJSOXの不備につながった事例もあります。M&Aを活発に行う会社では、こうした内部統制に係る視点もDDでチェックするポイントとして買収に関する社内ルールにしておくことも全社的統制の一環と言えるでしょう。
ビズサプリグループでは、DDの実施や価格算定、PMIのご支援など、M&Aを成功させるためのご支援も提供しております。お気軽にお声がけください。
本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

事業承継の方法

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.121  2020.8.6━

【ビズサプリ通信】

▼ 事業承継の方法

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ビズサプリの庄村です。
2020年8月に入りました。長かった梅雨も明け、コロナ禍でマスク着用のなか、
気温が35度を超える猛暑となっているところもあるようですが、熱中症には
くれぐれもお気を付けください。
今回は事業承継の方法をテーマとします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 1.中小企業の現状

----------------------------------------------------------------------

中小企業は我が国企業数の約99%、従業員数の約70%を占めており、経済
や社会を支える存在として、また、雇用を支える存在として重要な役割を担っ
ています。

中小企業庁によれば、中小企業経営者の高齢化が進み、経営者交代率は長期にわ
たって下落傾向にあるようです。すなわち、多くの中小企業では経営者が高齢化
しているにもかかわらず、経営者の交代が起こっていないということです。この
ままでは優秀な中小企業が多いにもかかわらず経営者の高齢化と後継者不足によ
って廃業を余儀なくされる例も多くなってしまいます。
大企業の場合には、中小企業と違い、優秀な人材も多く代表取締役の交代も比較
的頻繁に行われ、代表取締役候補もたくさんいます。むしろ出世競争を競う状況
となります。特定の経営者に依存する部分が中小企業よりも少ないため、経営者
が変わっても、会社運営が大きく変わることは少ないです。

一方、中小企業の経営者の多くは、悪く言えばワンマン経営となっていて会社運
営が経営者個人に大きく依存していることが多いです。もし経営者が病気やけが
で倒れたら大きな混乱が生じてしまいます。
したがって、中小企業の経営者交代は慎重に対応する必要があります。

事業承継とは、会社の経営権や理念、資産、負債など、事業に関するすべてのも
のを次の経営者に引き継ぐことです。事業承継の方向性には、「親族内承継」、
「親族外承継」、「第三者への売却」、「廃業」があります。下記では、各事業
承継の方向性の最近の動向とメリット、デメリットなどを説明します。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 2.親族内承継

----------------------------------------------------------------------

親族内承継は、現経営者の子をはじめとした親族に会社を承継させる方法です。
中小企業庁によると、20年以上前は親族内承継が83%以上ありましたが、息
子や娘が多様な価値観の影響で事業を引き継ぎたくないと考えるケースや、経営
者自身が子供に経営の負担を負わせたくないと考えるケースが増えているため、
親族内承継は50%程度となり減少傾向にあるようです。

親族内承継は、一般的に、親族内外の関係者から心情的に受け入れられやすいこ
と、親族という身近な存在であるため、事業承継を行うにあたって重要となる意
思の承継がしやすいこと、相続等により財産や株式を後継者に移転できるため、
所有と経営の分離を回避できる可能性が高いといったメリットがあります。
一方、親族内に、経営能力と意欲を持っている後継者候補がいれば最良ですが、
いない場合でも経営を任せがちであったり、相続人が複数人いる場合には後継
者の決定や経営権の集中が難しくなったりします。特定の子供に承継させる場合に
は他の兄弟との間で不公平が起こらないようにしないと遺産トラブルがおこってし
まう可能性が高くなってしまいます。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 3.親族外承継

----------------------------------------------------------------------

親族外承継は、会社役員や従業員など親族でない人に会社を承継させる方法です。
長年社長の右腕として会社をささえてきた会社役員・従業員や将来有望な会社役
員・従業員が役員候補となるため、業務に精通しており経営方針の一貫性を保て
、他の従業員の理解も得やすいこと、親族内に適性のある後継者がいない場合で
も候補者を確保しやすいといったメリットがあります。
信頼している部下が会社を承継すると経営者も安心していられます。
親族内承継の減少を補うように親族外承継の割合が近年増加しているようです。

一方、親族外承継は経営者から株式を相続する親族内承継と異なり株式が相続さ
れないので株式の取得対価の準備が難しいというデメリットがあります。株式譲
渡が行われないと、経営者にとっては非上場株式が現金化できず、経営者個人の
保証や担保提供資産を外してもらえません。また、後継者にとっても所有と経営
が分離されたままとなり、重要事項の決定権がないこととなり会社経営のモチベ
ーションも下がってきます。
そのため、後継者の金融機関からの株式取得費用の融資や、黄金株(拒否権付株
式)などの種類株式の発行、従業員持ち株会を活用するスキームなどで後継者の
資金力問題を解消しているようです。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 4.第三者への売却

----------------------------------------------------------------------

3つ目の引継ぎ方法はM&Aによって会社を第三者へ売却する方法です。
親族や従業員等の親族外で適任な後継者がいない場合に、広く候補者を外部に求
めることができます。多くの場合、株式譲渡によりM&Aが行われますので、経営者
も会社売却の利益を得ることができます。
M&Aによる事業承継は中小企業の後継者確保の困難性により近年は増加傾向にあり
ます。

M&Aによって第三者へ事業を承継するときには、経営理念や経営ノウハウの承継には
留意が必要です。経営理念がうまく承継されないと経営者交代後に従業員のモチベ
ーションは下がってしまいます。また、経営ノウハウがうまく承継されないと経営
者交代後に取引は継続できないなどの弊害が生じてしまう可能性があります。

中小企業のM&Aでの企業価値は年買法(時価純資産+のれん代(年間利益の〇年
分))で評価されることが多いです。もしM&Aによって事業承継をするのであれば
高く会社を売却するために企業価値の向上に着手することが望まれます。
企業価値が高く魅力的な会社であれば買手もすぐに見つかりやすいです。

M&Aで最適な買手候補を見つけるまでには数カ月かかるのが一般的であり、買手が
見つかったあとも数回のトップ面談等の交渉を得て最終的に買手と合意されM&A
成立します(成立しないケースもあります)。したがって、M&Aを実施するときは
時間的な余裕をもって取り組むことが必要になってきます。

M&Aは自力で行うことは不可能でありM&A仲介業者を選定してから取り組みます。
M&A仲介業者は、専門の仲介会社、弁護士や公認会計士などいろいろな人が取り組ん
でいます。そのなかで信頼できる良いM&A仲介業者を選定することがM&Aを成功させ
るキーポイントになってきます。


M&Aによって買手企業がみつからない場合は、事業承継ができず、やむなく廃業に
追い込まれるケースが出てきます。


本日もビズサプリ通信をお読み頂きありがとうございました。

ビスサプリグループでは事業承継支援やM&A仲介サービスを提供しております。是非
お気軽にお問合せ下さい。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『諸行無常』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.120━ 2020.7.15━━

【ビズサプリ通信】

1. 諸行無常

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ビズサプリの花房です。在宅時間が多くなったことで本を読む時間も増えており、
毎週のように書店で新たな本を探しています。様々なジャンルを選ぶよう心がけ
ていますが、最近はミステリー小説にはまっています。書店の雑誌コーナーに
行くと、「アフターコロナの時代に…」と言った、タイトルや、記事の雑誌が
増えてきているようですが、まだ国内でも海外でも感染拡大は続いており、ウィ
ズコロナがどこまで続くか分からない中で、アフターコロナの状況を予想して
その対応の仕方を語るのは、いささか時期尚早な気がします。

実際、第2波、第3波、がいつかは分かりませんが確実に来るでしょうし、ワク
チンについても実用化しても直ちに皆に行きわたるわけではないため、ワクチン
が簡単に手に入る状況にならないと、コロナが収束した後の状態、すなわちアフ
ターコロナは実現しないと言えるでしょう。ワクチンにより集団免疫が出来れば、
感染は1~2年で収束する可能性があります。しかし、効果的なワクチンが現れず、
自然感染による集団免疫の獲得を待つとなると、3~5年、あるいはそれ以上の
長期にわたり、感染拡大が続く恐れもあると言います。

それまでは、人の移動を含めて、経済活動が大幅に制限されるため、長期化する
ほど、経済へのダメージは予想がつかないほど大きなものとなる可能性があり
ます。世界銀行が2020年6月8日に発表した、新報告書「世界経済見通し(GEP)
2020年6月版」によると、2020年の世界経済成長率は5.2%減になるとの予測で、
これは第二次世界大戦以来最悪の景気後退であるとのことです。

世の中は絶えず変わりゆくものです。仏教の教えでは、世の中のものは全て
移り変わり、同じ状態でとどまることがないことを、『諸行無常』と言うそう
です。「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」とは、日本人なら誰もが
一度は聞いたことがある、平家物語の冒頭の有名な言葉ですが、この世のすべ
ての現象は絶えず変化していくもの、ということが自然の摂理なのです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2. 臨機応変

----------------------------------------------------------------------

今年度の予算は、当初3月27日の国会で、102兆円で成立しました。これは過
去最大でありましたが、さらに新型コロナ対策等で、第一次、第二次補正予算
合わせて、58兆円規模の追加の歳出が決議されています。その結果、今年度の
国家予算は、160兆円と巨額に膨れ上がりました。この中には、すでに受け取っ
ている方が大半と思いますが、特別定額給付金、いわゆる、1人当たり10万円
の給付金として12.8兆円の予算が組み込まれています。その他、感染症対策の
費用もありますが、企業の雇用維持と事業継続支援のための予算が相当程度あります。

企業支援の予算としては、直接的な企業の支出を補助する、雇用調整助成金
家賃支援給付金、中小企業や個人事業主などに最大200万円を給付する持続化
給付金もありますが、企業が当面、一番気になる資金繰り支援のための予算と
して、約12兆円が計上されました。これは主に、保証協会付の融資の保証料免除
や、利子を実質無利子とするための資金として使われます。

企業にとって資金繰りは命綱ですから、収入が減ったとしても、金融機関からの
借入の返済を始め給与や取引先への支払い等を滞りなく行っていかなければなり
ません。大企業などで手元資金に余裕がある会社であればいいですが、中小企業
を中心に資金繰りに余裕がないところは少なくなく、まずは、当面の運転資金の
確保が最優先となります。

コロナによる景気後退がどのくらい続くか分からない中で、政府支援による
資金繰り確保も活用しながら何とか凌ぐ間に、次の一手を打って行かなければ
なりません。危「機」的な状況に「臨」んで、適切な対「応」をその時の状況
次第で、適切に「変」えて対処する、まさに臨機応変な対応が求められています。
コロナ後をいくら考えても想像通りとなる保証がない中で、我々に出来ることは、
まず目の前のやるべきことを見つけて、それに集中することしかないと思います。
日々それを繰り返していった結果、いつの日か、この危機的状況を乗り越えら
れるはずです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

3. 新しいビジネスモデル

----------------------------------------------------------------------

世の中の変化が緩やかであればいいのですが、現在は時代の節目なのか、100年
に1度と言われるような想定外の事象が頻繁に起きています。今年もすでに、
先週は九州を中心とした豪雨がありました。そしてそれらは突発的に起きます
ので、誰もが即座には対応しきれず、一時的にフリーズした状況になるのは致し
方ありません。しかし、このような人類にとっての危機的な状況は歴史上何度も
訪れ、その度に人類はそれらを克服してきたことは、歴史が証明しています。
その時、生活様式を含めて様々なことが大きく変わりますが、その変化に対応
できた企業だけ長きに渡り、生き残ることが出来たと言えます。

このような中、一早くコロナに対してうまく対応し、コロナの影響をもろとも
しなかった企業が、ニトリです。2020年3~5月期決算では、売上高は1737億円
で前年同期比3.9%増、営業利益は同22.3%増となっています。緊急事態宣言に
より、最大110店舗を臨時休業したものの、巣ごもり需要や在宅勤務向けの家具
の販売が伸び、ネット販売も好調だったようです。

ネット販売を駆使して巣ごもり需要をうまく取り込んだように見えますが、これ
はやろうと思ってすぐに対応できるものではありません。自社物流の強化を図っ
てきたこと、ネット通販のサーバー強化、といったデジタルトランスフォーメー
ションへの対応を先駆けて行ってきたことが、結果としてコロナ対応として効果
を発揮しました。また多くの製品は、感染の少なかったベトナムの拠点で製造
していたことが、欠品を避けられた理由となったようです。

ここまで、ニトリのように、即座にうまく対処しきれた企業は少ないと思います
が、飲食店では、多くのお店が、テイクアウトや宅配を始めるきっかけとなりま
した。まだ手探り状態で、採算面では課題もあるところが多いと思いますが、
コロナ前の集客状況にはすぐに戻らないことを前提として、新しいビジネスモデル
を構築していかなければなりません。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

4. 変化するチャンス

----------------------------------------------------------------------

長寿命企業、とりわけ、老舗と言われるところは、創業以来ずっと同じ事業を
行っているわけではなく、時代に即して商材や取引のスタイルを変化し続けな
がら、事業継続してきました。生物学の進化論では、「生き残るものは、力の
強いものでも頭の良いものでもなく、変化に対応出来るものである」という言葉
がありますが、まさに企業も同じで、自然や政治、世の中のテクノロジーと言った
環境変化に応じて、自らを変革できる企業が存続していくことが出来ます。

世の中は常に変化していますから、いつかは変わっていかなければならない中で、
今回の新型コロナウィルスの騒動は、否応なしに、すぐに自らの企業の在り方を
変えていかなければならない状況が訪れました。前向きにとらえれば、ショック
療法的かもしれませんが、これを変革のチャンスと考えて取り組めばいいのでは
ないでしょうか?

老舗と言えば、一般的には「保守的」なイメージがあるものですが、常に新しい
ものにチャレンジする「革新性」も併せ持っていると言われます。その企業の
根幹となる、経営理念のような守るべきものは守り、一方で市場ニーズを汲み
取って、あるいは時代を先読みして、変化を恐れずチャレンジし続けることが、
企業を継続させる秘訣かもしれません。

そしてより大事だと考えられることは、そこで働く人ではないかと思います。
昔から言われる、日本企業の良さは、同時に強みにもなっている部分ではあり
ますが、人を育て、人を大事にすることだと思っています。トヨタ自動車社長の
豊田章男氏は、「モノづくりは人づくりから」、ということで、「人づくり」
にとことんこだわっていきたいと仰っています。それは、経営の神様と言われた、
松下幸之助翁が言われたように、「企業は人なり」だからでしょう。

ビズサプリグループでは、テレワークのための業務改善支援、非常事態における
決算開示支援も行っておりますので、ご興味ありましたらご相談頂ければと思います。
http://www.biz-suppli.com/menu.html?id=menu-consult


本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。